中小規模事業所の労働者1,889人を対象として、精神的健康に関する調査を施行した。年齢は18歳から75歳、男性78.4%、女性21.6%である。事業所規模は、50人未満が55.1%と過半数を占める。業種は製造業が大半であり、職種は生産が最も多い。
健康観は、「余り健康な方ではない」が17.7%、「健康ではない」が2.2%であり、約2割が不健康であると回答している。現病歴は、高血圧症5.3%、糖尿病2.5%、痛風1.2%などの生活習慣病の頻度がやや高い。職務満足は、「多少不満」28.1%、「かなり不満」 6.2%、「非常に不満」2.3%であり、1/3以上が不満を抱いている。さらに雇用不安は、「少し不安」29.4%、「多少不安」26.3%、「かなり不安」7.6%、「非常に不安」4.2%であり、約2/3が雇用不安を抱いている。ストレス感は、「少しストレスがある」24.8%、「多少ストレスがある」24.7%、「かなりストレスがある」9.8%、「非常にストレスがある」3.5%であり、約2/3がストレスを感じている。
精神健康度の指標として用いた一般健康調査表(GHQ)の総得点において2/3を区分点とすると、対象者の41.1%が不健康状態にあると考えられる。年齢との関係では、40代が最も精神健康度が低く、20代・30代、50代、60代になるにつれて精神健康度が高くなる。婚姻状況では、既婚が最も精神健康度が高い。事業所の規模別では、300-499人が最も精神健康度が低く、次いで100-299、30-49人、50- 99となり、30人未満が最も精神健康度が高い。雇用形態では、正職員が最も精神健康度が低く、次いでパート、派遣社員である。職種では、営業と開発・研究で最も精神健康度が低く、次いで生産、一般管理、企画・調整と続き、人事・労務が最も精神健康度が高い。職位では、一般が最も精神健康度が低く、次いで役員、係長クラスであり、課長クラス、部長クラスは精神健康度が高い。残業時間との関係では、最も健康度の低いのは60-80時間で、残業時間が短いほど精神健康度は高くなる。
この結果は、中小規模事業所の労働者の主観的健康観に比べて、実際の精神健康度はより不良であり、乖離の存在することを意味している。すなわちメンタルヘルスに関する気づきの重要性を示唆するものである。また回答者の4割がメンタルヘルス不良群に属するという結果から、中小規模事業所の労働者に対して、早急にメンタルヘルス対策を講じることが必要であると考えられる。この背景として、所定時間外労働などの職場のストレスがあると考えられるが、このことを念頭においた対策が望まれる。
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